ブースターパック発売ごとに区切って流行したデッキ・カードプールの変遷を記述する。
白の安定したサーチ能力に加えて、強力なバウンス能力を持つ《太陽の巫女 タマヨリヒメ》により、環境の中でも頭一つ抜けていた。
《幻獣神 オサキ》と《修復》を使い、エナゾーンとライフクロスの枚数増加を行う。
手札がなくなれば《THREE OUT》で補充、デッキがなくなればリフレッシュでキーカードをデッキに戻し、これを繰り返す。
当初は時間切れの際にライフクロスの枚数で勝敗を付けていたところも多く、時間切れによる勝利を狙っていた。
この時点では対抗策がほぼ無く、対戦相手のルリグが《幻獣神 オサキ》を出せるレベル4緑子になる前に勝ちきるのが最も有効だった。
カードゲーマー vol.16(5月31日発売)付録のプロモカードである《ゼノ・マルチプル》を入れた多色デッキ。
緑は構築済みデッキが発売されるまでアタックフェイズに使えるアーツがなく、防御のアーツがなかった。
そこへバウンスとドローをできる《ゼノ・マルチプル》が登場し、エナゾーンへの干渉を得意とする緑にはその重いコストも苦ではなかった。
他にも赤で《ゼノ・マルチプル》を混ぜる多色デッキもあった。
前期の【太陽の巫女 タマヨリヒメ】に《先駆の大天使 アークゲイン》を加えたもの。
バウンスし天使シグニを3体並べれば、大半の対戦相手のアーツを無視してライフクロスのクラッシュが狙え、非常に強力であった。
当初は《ホワイト・ホープ》以外に《先駆の大天使 アークゲイン》を含む天使のシグニのアタックを防げるアーツはなく(後に《アンシエント・サプライズ》が登場)、各デッキにとって大きな脅威であった。
《幻獣 ベイア》と《四型緑姫》の登場により【セイリュベイア】が《先駆の大天使 アークゲイン》軸の【タマ】に強いデッキとして台頭した。
また、【セイリュベイア】は【轟炎 花代・爾改】に弱く、【轟炎 花代・爾改】は【タマ】に弱かったため、これら3つのデッキが大会において多く見られた。
《コードアンチ アステカ》の登場により、「シグニゾーンが空でも壁を準備できる」ということで《アンシエント・サプライズ》と《コードアンチ アステカ》とレベル1の古代兵器を採用することで今まで勝ちを拾いにくかったデッキでも勝ち筋が生まれ、非常に幅広いデッキが結果を残すようになった。
新たなルリグタイプとしてアン、ミルルンが登場した。これらのルリグはそれぞれ美巧、原子のシグニが専用シグニとして用意されていたが、インフェクテッドセレクターで登場した新規クラス(美巧、原子、龍獣)のシグニはいずれも4種のみしか収録されなかったため、デッキを組みやすいとは言えなかった。
また、《ファフニール》の登場により《アーク・オーラ》を使用しやすくなった【タマ】、《アルテマ/メイデン イオナ》と《コードラビリンス クイン》が主体の【アルテマ/メイデン イオナ】や《三式豊潤娘 緑姫》の登場により《幻獣 ミスザク》を採用した【三式豊潤娘 緑姫】などのデッキタイプが台頭した。
カードゲーマーVol.19(11月29日発売)付録にて、初めてスペルとアーツの同一ターン中の使用を参照するカードである《アイドル・ディフェンス》が登場した。これにより《ファフニール》と《アーク・オーラ》、《烈情の割裂》と《捲火重来》や、《豊潤》と《大器晩成》などのコンボ性の高い戦術は《アイドル・ディフェンス》を意識しなければならなくなり弱体化した。
ビギニングセレクター以前にはレベル5のルリグは《アルテマ/メイデン イオナ》しか存在しなかったが、ビギニングセレクターではほとんどのデッキでレベル5のルリグを利用できるようになった。それに伴って、ルリグデッキ内のルリグが1枚増えることでアーツが1枚減る点や、レベル5のルリグやシグニのカードパワーが高いことで、環境は高速化した。
レベル5のルリグを利用するデッキが多い中、《虚無の閻魔 ウリス》と《紅蓮の閻魔 ウリス》の噛み合わせが良くない【ウリス】やレベル5ルリグの存在しない【ウムル】などではレベル4を主軸に据えることも多かった。
《創世の巫女 マユ》は高いカードパワーを誇り、これを採用した【タマ】や【イオナ】が流行した。特に《先駆の大天使 アークゲイン》を並べられ追加の1ターンを得られた場合にほぼ為す術がないことから、そのメタとして《コードアンチ アステカ》とレベル1の古代兵器を採用し、《アンシエント・サプライズ》によって防御するデッキが一層増加した。
さらに、《アンシエント・サプライズ》に加え、対戦相手が《創世の巫女 マユ》ならば低コストで使用できる《デッド・スプラッシュ》までもを採用したデッキも存在した。
また、《羅植姫 ゴーシュ・アグネス》などでエナを増やし、《修復》によってライフクロスを増やすことで防御を成す【緑子】も台頭した。
2015年2月21日発売のウィクロス カード大全IIで登場した《ネクスト・レディ》はエクシード能力を持たないためにルリグの下に重ねられたカードを持て余していたルリグの強化となった。
2015年2月11日には「史上最大のチョコレート争奪戦」関西大会が、2月28日には関東大会が行われた。
関西大会のイベントレポート
関東大会のイベントレポート
《羅石 カクセン》など、中央に配置することで能力を得るシグニが登場した。これにより中央と端を考慮してシグニを配置する意味が生まれた。
また、《ピンチ・ディフェンス》などの自分のライフクロスが2枚以下の時に強くなる効果を持ったアーツ群も登場した。
新たなルリグタイプとしてタウィルが登場した。【タウィル】は《聖墓の神姉 ムンカルン》をはじめとして優秀なタウィル限定のカードの存在もあり、発売当初から高い安定性を誇った。
前環境に引き続き《創世の巫女 マユ》を主軸とした【タマ】や【イオナ】の他、【緑子】が猛威を振るっていたが、《三首の連打 ケルベルン》を得て速度が上がった《紅蓮の閻魔 ウリス》を主軸とした【ウリス】も台頭した。
2015年3月21日には「史上最大のチョコレート争奪戦」中部大会が、3月28日には九州大会が行われた。
中部大会のイベントレポート
九州大会のイベントレポート
4月25日にはホワイトプレイとレッドホープが発売された。
ホワイトプレイでは新たなルリグタイプであるサシェと新たなカードタイプのレゾナが初めて登場した。同日にはウィクロスマガジンVol.1も発売されたが、<宇宙>のシグニもスターターにしか収録されていないためにデッキの幅が狭いこともあり、【サシェ】のデッキとしての完成度は高いとはいえなかった。
レッドホープでは既存のルリグであるタマが赤のルリグとして収録された。また、新能力のクロス?が初出となった。
また、同日から繭の部屋として《先駆の大天使 アークゲイン》、《忘得ぬ幻想 ヴァルキリー》、《修復》に対する制限が適用された。
これにより猛威を振るっていた【タマ】、【緑子】のデッキパワーが下がった。
ブースターパックでもレゾナやクロスシグニが収録され、クロス?に関連したカードが多数登場した。既存の《紅蓮の巫女 タマヨリヒメ》型や《紅蓮の閻魔 ウリス》型のデッキにクロスシグニを投入したタイプも多く見られた。
6月20日には新たなルリグタイプのミュウを収録した構築済みデッキブラックニードが発売された。
限定販売されたセレクターズパック Vol.エルドラ&遊月では、【ユヅキ】のフィニッシュカード《四面楚火》や、【エルドラ】の新たな戦法を生み出した《DYNAMITE》が登場した。
場とエナのコントロールに優れた《羅原 Uuo》と、安定性と対応力を上げる《MAGIC HAND》の登場で【ミルルン】が躍進した。
ブラックニードで登場したミュウが強化され、高い制圧力を持つ《黒幻蟲 アラクネ・パイダ》が登場した。
《ペイ・チャージング》の登場で容易に大量のエナを貯めることが可能になり、《大器晩成》型【轟炎 花代・爾改】などが強化された。
劇場版前売券の特典として《アーク・ディストラクト》が登場し、タマ以外のルリグでも《アーク・オーラ》のような連続アタックが可能になった。
新たな繭の部屋が適用され、低コストで対戦相手の大半の防御手段を封じていた《ノー・ゲイン》が初の使用禁止カードに指定された。
過去のカードを参照するシグニやレゾナが多数登場した。【ピルルク】は《コードハート V・A・C》関連のカードによってスペルを主軸にした構築も可能になった。
効果やバニッシュに耐性のあるシグニが増加し、【タウィル】の盤面をより強固にする《混沌の豊穣 シュブニグラ》や、バニッシュ効果でアタックを通しやすい《コードハート A・M・S》などが登場した。
カードゲーマーVol.24(9月30日発売)付録の《コードアンチ メイジ》は【アタックフェイズ】に場に出すことができる初のシグニで、ルリグデッキを圧迫しない防御手段として注目された。
新たなルリグタイプとしてアイヤイ、その専用のクラスとして遊具が登場。エナゾーンを駆使したシグニの連続アタックは注目を集めたが、登場当時はその脆さやプレイングの難易度目立ち、環境には入り込めていなかった。
環境トップと目された【ミルルン】のスペルを牽制する《ブラック・コフィン》、《創世の巫女 マユ》のエクストラターンをストップさせる《ペナルティ・チャンス》などのメタカードが多く登場。多数の対抗デッキが台頭した。
チャームと連動して何度も使いまわせる蘇生スペル《バイオレンス・ジェラシー》と手軽にチャームを生み出せる《破戒の韋駄 スカンダ》により、【ウリス】デッキの安定性が向上。前述のメタカードを効果的に使えることもあって使用者が増えていった。
《集結する守護》は低コストでサーバントに強力な攻撃力を与える強力なスペルでであり、ルリグの特性にあまり依存しないサーバントデッキというデッキタイプを生み出した。
ウィクロスとしては初の世界大会・ウィクロスカップ2015が開催。
どんなデッキでも採用可能であり、低コストでアタックを2回止めるアーツ《暴風警報》、デメリット付きとはいえ破格のエナブーストを行えるスペル《三剣》が決勝トーナメントで多く使われ、以降の環境でもよく見られるようになった。
また、この大会の決勝を制したのは使用者があまり多いとは言えなかった【サシェ】デッキであり、《白羅星 プルート》や《羅星姫 タンサーフォー》等、第10弾のサシェを強化するカードの性能も注目を集めた。
《ブルーコードハート V・@・C》を用いたループコンボが発見され、健全なゲーム進行を阻害するとして、《ブルーコードハート V・@・C》と《レゾナンス》あるいは《レゾナンス・マーチ》との同時使用制限が2015年11月20日に発表され、その翌日の2015年11月21日から適用されるという異例の事態となった。
また、2015年12月22日には新たな繭の部屋の制限・禁止カードが発表、次弾環境にあたる2016年1月21日からの適用がアナウンスされた。
内容は以下。
《大器晩成》が使用禁止。
《創世の巫女 マユ》と《真名の巫女 マユ》、《羅原 Ar》と《MAGIC HAND》が同時使用禁止。
《ロック・ユー》は1枚制限かつ、《烈情の割裂》あるいは《スピリット・サルベージ》との同時使用禁止。
タマ、花代、ピルルク、緑子、ウリスといったアニメ初期組のレベル4ルリグが強化。
どのルリグも強力なエクシード能力を持ち、それまでのレベル4ルリグに代わって以降の環境のメインストリームとなっていった。
特に《コード・ピルルク Λ》はハンドアドバンテージの確保と緊急時の防御性能が優秀で、《ブルー・パニッシュ》、《幻水姫 グレホザメ》といった優秀なカードが登場したことにより、【スペル軸ピルルク】のデッキがピルルクとしては初の環境トップとなった。
半面、前述の繭の部屋の更新や、強力なスペル対策能力を持つ《コードハート M・P・P》の登場により、かつてのスペル軸デッキの代表格であった【ミルルン】は弱体化していった。
《純白の巫女 ユキ》を中心に、白のイオナが登場。デッキバウンスと配置換え、サーチを主軸とする迷宮軸の【イオナ】が新たなデッキタイプとして登場した。
《フォーカラー・マイアズマ》、《ブルー・パニッシュ》といった複数のモードを選択して発動できるアーツが登場。特に《フォーカラー・マイアズマ》は攻防に優れた汎用アーツとして、多くのデッキに採用された。
またそれに反比例して、性能に似た部分が多い《アンシエント・サプライズ》は採用率を減らしていった。
映画公開記念デッキとしてBLACK DESIRE -movie ver.-、WHITE HOPE -movie ver.-が2016年2月13日に発売。タマとウリスが強化され、《モダン・バウンダリー》や《グレイブ・ガット》など、高額であるにも関わらず必須といわれていたデッキパーツが入手しやすくなった。
同日、映画selector destructed WIXOSSが公開。入場者特典カードとして《燐廻転生》、《紆余曲折》、《ディストラクト・スルー》が登場。
特に汎用的なエナ操作能力・バニッシュ能力を付与でき、《先駆の大天使 アークゲイン》を除去できる《紆余曲折》が多くのデッキに採用された。